「石の魂」
2011.8(制作期間1週間) 石膏
光が激しく舞い踊る。
外部からの新たなエネルギーを受け、
内部のエネルギーと響き合って一体となっていく。
内と外に響き渡り、
さらに大きなエネルギーとなっていく。
初めて彫刻に出会ったあの日。
上から光が降りてきて、目の前をグルグル回り出した。
「このエネルギーを吹き込んでください。」
そう伝えてくるかのように。
あの1週間は光に包まれて
優しい声に導かれているかのようだった。
未完のままの完成。
「何かが生まれそうだ。殻を破って出てきそうだよ。
だからまたやりたくなったら彫刻をしてください。」
そう最後に言われ、全て忘れて元の生活に戻るつもりだった。
でも、何度も何度も夢の中で彫刻をしていた。
無理だと言い聞かせても、何度も繰り返されてしまう。
初めて彫刻に触れて光が降りてきた時から、私の世界観は変わった。
でも、環境は変わらなかった。
次の年の初夢で、誰かに教わり彫刻をしている私がいた。
もう耐えられないと思い、賭けをすることにした。
今まで怖かった彫刻に触れて、何か感じたらやろう、昔のままならやめようと。
そして、私はあの日出会った人の彫刻に触れに行った。
なぜか懐かしかった。
涙が出てきた。
「やっと見つけた私の居場所。もう元の世界へは戻りたくない。」
決意をしたとたん、不思議な感覚に襲われた。
光に包まれた後、闇が広がり、世界が終るような死ぬ前のような感覚になり、孤独に襲われた。
この世界は生きるための舞台として作られている。
みんなこの世界で馴染んでいる。
でも、私だけ分離して客観的に見つめていた。
少し間違えばバランスを崩し、簡単に壊れてしまうほどに。
私はあの時、一度全てを手放し世界と分離したのだろう。
俯瞰する意識の中で、違う景色を見つめる。
だから気づいた。
深く永く続いている、ずっと傍にいた愛しい存在に。